魔法少女リリカルなのはα's
第3話 「夜明け(後編)」
「ゲーヴェルト、初期リミッター解除・・・セットアップ!」
《Anfang.(起動)》
カリブラの呼びかけに答え、首飾り(待機フォルム)から光が放たれ、その光がカリブラを纏いだした。
やがて光はカリブラの身を護る深き蒼翠の甲冑となり、ゲーヴェルトは剣の形態、シュベルトフォルムへ変形した。
『ちょ、ちょっと!とんでもない魔力反応・・・撤退して!』
緑の女性の呼びかけに、剣の女性はこう答えた。
『勝負をこちらから仕掛けた以上、逃げるわけにはいかない。一応ヴィータをこちらへ呼んでおけ』
『ちょっと!本気なの!?』
それきり、念話は途絶えた。
女性は、持っていた剣を抜いて構え直し、こう言った。
「我が名はシグナム。そしてこれが、炎の魔剣レヴァンティン。先刻の無礼の侘びを言う。しかし勝負は勝負。貴様に勝って、リンカーコアを頂く!」
× × ×
剣の女性―――シグナムは、今度は律儀に宣戦布告をしてきた。俺もそれに答えておこう。
「俺はカリブラ。こいつは相棒のゲーヴェルトだ」
ゲーヴェルトもきらりと挨拶をした。
「リンカーコア・・・魔導師の魔力の源を集めてどうする?・・・って、そうそう話してくれはしないだろうが」
俺のその言葉に、シグナムの眉がぴくりと動いた。
何か使命を果たそうとしている顔、その使命以前に、何か深いものを抱えているような顔。
俺は続けて言った。
「俺が勝ったら・・・その理由、教えてもらうぞ」
「勝てるのか?この私に」
余裕・・・いや、自信に満ち溢れた顔だ。相当の手練れか。
「レヴァンティン!」
《Explosion.》
「カートリッジシステム・・・か」
魔力を圧縮し、それを込めたもの―――カートリッジをデバイスでロードすることによって、瞬時に魔力を爆発的に高めるシステム・・・。
「一気に決める!紫電一閃!」
俺との間合いを一気に詰め、炎を纏ったレヴァンティンを振りかざしてきた。
だが・・・。
《Absoluteschild.(アプゾルートシルト)》
「なっ・・・!ぐぅっ・・・」
俺は親指・人差し指・中指の3本の指で三角の魔法陣の盾を展開し、それを受け止めた。
シグナムは必死にこのシールドを破ろうとしているが、正直言ってこのくらいの力ではひびが入るどころかビクともしない。
俺はレヴァンティンごと、シグナムをはじき返した。
「・・・っ・・・硬い・・・!」
「残念だけど、今のアンタの力じゃ、俺に触れられもしない。さっさと終わりにしよう」
《Nachahmung.(ナッハアームング)》
「その構え・・・まさかっ!」
そう、さっきのシグナムと同じように構えて・・・俺はゲーヴェルトを振るった。
「紫電一閃!」
「うわああぁぁぁっ!!」
俺はその一振りで、咄嗟に展開したシグナムのシールドを破壊し、彼女を向こうの防波堤まで叩きつけた。
まぁ振り切っていないから、命に別状はない。
ゆっくりと事情を聞いてやるとするか。
俺はシグナムに歩み寄った。意識はあるみたいだが、ぐったりとしている。
「さて、俺の勝ちだ。約束通り、事情を話してもら・・・っ!?」
何か来る!
「アイゼン!」
《Schwalbefliegen.(シュワルベフリーゲン)》
俺は咄嗟に後に引いた。その跡には間髪を入れず、真紅の光を帯びた鉄球がズドンと地面にめり込んだ。
すると、シグナムの前に一人の少女が降り立った。
見た目は俺より少し年下くらい。お人形さんが着るような赤い可愛らしい服装をしているが、俺を見る目はそれと対照的に結構きつい。
「シグナム、大丈夫か?!」
「・・・ヴィータか・・・」
その少女はヴィータというらしい。シグナムの仲間のようだ。
そのヴィータが、さらに表情を険しくして言った。
「お前・・・!よくもシグナムを!あたしとグラーフアイゼンが叩き潰す!」
To be continued
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